SONY NEX-3N (ミラーレスAPS-C) を電子観望に使えるか?

(天体望遠鏡の)電子観望のカメラにSVBONYのSV305を使っていますが、もう少し広い視野が欲しい。
手元にSony NEX-3N というミラーレスAPS-C カメラがあるので、これを電子観望に使えないか?と試行錯誤した記録です。※先に結論を書くと、失敗です。

この Sony NEX-3N は赤外線カットフィルターを外した、いわゆる「天体用に改造」したものをオークションで入手したものです。高級機種ではないので、なかなか手ごわいです。天体用としてはオススメしません・・・・(今回の記事とは直接関係ないですが、NEX-3Nはよくあるシャッター信号端子(信号を短絡)をそのままつないでもシャッターが切れません。 ここでツイートしたようにNEX用のリモコンを買って改造しました。)

なお、NEXと言っても機種によって千差万別のようです。この記事はNEX-3Nに特化したものと考えてください。(例えば「NEX-F3」という機種も持っているのですが、こちらはバルブが使えず、リモコンも使えません。)

WEBカメラとして使えないか?

NEX-3NにはマイクロHDMI端子が付いてるので、HDMIキャプチャ装置を付ければWEBカメラとして使えるのか、試してみました。
⇒ HDMIキャプチャデバイス経由でPCに接続すると「USB Video」という名前でSharpCapから見えましたが、見てみるとこの状態。
背面液晶画面の見たまま、周囲のメニューまで送られてきます・・・・
このままでは当然、周囲メニュー部分に引きずられてライブスタックはできません。

※この写真は天体ではありません。天井のライトです。。。


①-1 このメニュー、非表示にできない?
⇒上位機種だとメニューは非表示にできるみたいですが、この機種は残念ながら表示を最小限にしてもこの状態。

①-2 動画撮影状態にすればメニューは消える?
メニューは消えるが録画中を示す「赤い丸」が出るので、ライブスタックできない

①-3 SharpCapにはROI (Region of interest) というクロップ(=トリミング)機能があって、カメラ画像の一部を取り出して使うことができる
⇒ USB VideoではROI機能が使えない。

①-4 OBS Studio というアプリを入れてトリミング、仮想カメラとして配信しSharpCapへ
⇒ SharpCapでOBSのVirtualCamは認識・選択できるものの、画像が表示されない。ネットはでOBSで使えるという情報もあるのですが、私の2台のWindows11では使えませんでした。


①-5 OBS Studio と同様の ManyCam というアプリは、トリミング、仮想カメラ配信、SharpCap取込みができました!!(しかし49ドル/年 の費用が掛かる)
⇒ ところが、、、比較的明るい星のあるオリオン座下半身でやってみても

  • ISO感度を上げるとノイズだらけ⇒ライブスタックで検出失敗
  • ISO400程度で5枚に1枚くらい検出する
  • ISO感度を下げると⇒暗すぎて検出失敗

    と、あまりにもひどい結果となってしまいました。

    オリオン座の下半身。あまりにもひどい結果・・

    よく考えると撮影の時も「モニタではほとんど見えない」から「露光後のプレビューで結果確認する」という事をしています。このほとんど見えないモニター画像をライブスタックするというのは、そもそも間違っていたような気がします。

    スティックPCをモバイルバッテリーで運用する

    電子観望用にスティックPCを買いました。
    買ったのは Mele PCG02 という機種でCPUがCeleron J4125、メモリ8GB、ストレージが128GB、とそれなりのスペックです。SharpCapでライブスタックも問題なくできました。しかし、スペックが高い=消費電力が大きい、ということです。

    Ankerのでかいモバイルバッテリーがあったので、それで使えるといいな、、、と思いました。

    しかし、電力に余裕があるはずのタイプC-PDからは動きません。タイプAの口からタイプA-タイプCケーブルを使うと動きました。
    しかし、規格上5V3AがMAXですが、スティックPCは電力消費がかつかつのようです。USB機器を何もつながないと問題ないですが、カメラをつなぎ、もう一つなにかをつなげると、PCで何か重い処理をするタイミングなどでPCが落ちます。かなり頻繁に落ちます
    説明書にも「付属のACアダプタを使ってください」とあります。コンセントから付属のACアダプタではUSB機器をつないでも安定しています。

    仕方なく、AC電源付のモバイル電源に付属のACアダプタを差して使いました。これだと問題ないようです。ACアダプタには5V3Aと書いてますが、絶対3A以上流してそう。
    それにしても全然ポータブルなシステムではなくなりました。。
    外部電源付のUSBハブもACアダプタからの電源供給だし。

    そこで、そこで、USB 3.0 二 股延長ケーブル、USB 3.0タイプAメスto デュアル USBオス充電Y延長ケーブル(片側のみ)充電用 30cm というケーブルを買いました。
    青い口が通常のUSBポートで、白い口が電源供給用ポートです。
    ACアダプタから外部給電するUSBハブがありますが、それと同じです。

    スティックPCにはUSB機器を直接接続せず、このケーブルを介して接続したUSBハブに接続します。
    そして、このケーブルで「別のモバイルバッテリー」からUSB機器に電力供給します。必要なUSB機器を全て繋いでも落ちなくなりました。

    モバイルバッテリーが2つ必要になりますが、これでモバイルバッテリーだけでスティックPCが安定して動くようになりました。